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心理学コラムシリーズ No7.人はなぜ,犯罪を"しない"のか?

「人はなぜ犯罪をするのか?」古くから,犯罪の原因について,多くの探究がなされてきました。その人の持って生まれた遺伝的要因,社会制度などの欠陥,家庭環境などの影響で形作られた性格や考え方など,様々な原因が考えられています。しかし,1960年代末からは,「人はなぜ犯罪をしないのか?」といった,逆方向からの探究もなされています。

 ハーシー(Hirschi, 1969)は,「誰もが逸脱を犯し,犯罪に手を染める可能性を持っているにもかかわらず,多くの人が犯罪を行わないのはどうしてなのか?」に興味を持ちました。そして,家族や友人など身近な人々に対する心情的な結びつきや,仕事や学校生活などの合法的な領域での活動に多くの時間を割き,そこから富や地位,快適さなどの報酬を得ていることなどが社会との“絆要因”となり,人を犯罪から遠ざけているとしています。

 また,犯罪を躊躇させる環境に注目した研究もおこなわれています。簡単に盗まれないように鍵を掛けたり(抵抗性),むやみに知らない人が立ち入らないように柵を設置したり(領域性),挨拶をしたり防犯カメラを設置したりして誰かに見られていることを意識させたり(監視性)することの有効性が明らかになっています。

 ウィルソンとケリング(Wilson & Kelling, 1982)は,「割れた窓」など,ちょっとしたことが放置されているような環境は,その場所を管理するものがいないことを明示しているようなもので,犯罪を躊躇させるハードルを下げ,新たな秩序違反を呼び込み,いずれ大きな犯罪の発生につながるとしています。近隣で会う人とあいさつを交わすこと,落書きを消すこと,ゴミ拾いや草刈りなどの地域の清掃活動に参加することも,理論的に裏付けのある,効果的な防犯活動の一つだと言えます。

小宮信夫(2005)「犯罪は『この場所』で起こる」光文社
大渕憲一(2006)「犯罪心理学-犯罪の原因をどこに求めるのか」培風館

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