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心理学コラムシリーズ No8.血液型と性格-どうして信じてしまうのか-


血液型と性格-どうして信じてしまうのか-

「ケンジ君は真面目だと思ったら、やっぱりA型か」「ヒロシ君はB型、その通りマイペースだね」
 
血液型と性格の関係、よく耳にする話ですね。当たっているな、と感じる人もいるかもしれません。でも本当なんでしょうか。
 
結論を先に言ってしまうと、きちんとした心理学の研究で、血液型と性格に何か関係性があるという結果はこれまでのところみられていません。最近『心理学研究』という専門誌に報告された研究では、日本とアメリカで大規模な調査が行われていますが、ここでも血液型と性格の間には関係は見出せませんでした(縄田、2014)。

しかし、「でも、周りを見ると当たっている人が多い。やっぱり関係がある」と思う人もいるかもしれませんね。しかしこれは思い込みなんです。「血液型ステレオタイプ」と言います。ステレオタイプというのは、ある集団の人たち(この場合はA型の人たち、B型の人たち)の特徴についての固定的な思い込みのことです。ステレオタイプは一部は当たっている場合もあるのですが、この血液型ステレオタイプの場合は、正しいとは全く言えません。しかしこのステレオタイプには根強いものがあります。インターネットでも、「血液型と性格」を解説した多くのサイトが立ち上げられています。なぜでしょうか。そこにはいくつかの理由が考えられます。

まず、「性格」とされているものがあいまいだ、という問題があります。そもそも性格というのは、目に見えるものではありませんね。外に表れた行動から推測して、こんな性格だと判断するわけです。しかし、日常の会話ではどんな行動がどんな性格を反映しているのか、ということをきちんと決めないままに、「性格」を話題にすることがよくあります。たとえば、日曜日になると決められた筋トレを励行して、友人が遊びに誘っても応じない人がいるとします。この人について「真面目」という受け取り方もできます。しかし「マイペース」という受け取り方もできるでしょう。そこで、黙々と筋トレをしているのがA型のケンジ君だと「真面目だ」、B型のヒロシ君だと「マイペースだ」と解釈してしまう可能性があるわけです。

このことに関連して、「確証バイアス」と呼ばれる心理過程があります。これは、簡単に言えば「人が予想に合っているところだけを見てしまう」という判断の偏りのことを指します。つまり、私たちは、予想が当たっているA型で真面目な人の例には「やっぱりそうか」と注目しますが、予想が当たっていないA型で真面目でない人とか、A型以外で真面目な人のことを無視する傾向があるのです。もし、「A型が真面目だ」ということをきちんと確認するというのであれば、次のような手続きをとらなければなりません。まず、どんな行動が「真面目」なのか、ということを明確にします。そして、たとえば100人の中で、ア。A型での真面目な人、イ。A型で真面目でない人、ウ。A型以外で真面目な人、エ。A型以外でまじめでない人が何人ずついるかを数えます。その上で、予想に一致したアやエの人数が、予想に一致しないイやウの人数よりも統計的に多いことを確認する必要があります。けれども、普通そんなことをする人はまずいないと思います。

なお、「ユウタ君はA型なのに真面目でない」という例があり、それを無視できない場合には、「ユウタ君は特別だよ。だってユウタ君は不真面目な友達が周りに多いんだから」、というふうに当てはまらない例を別グループに入れてしまう、という見方をすることもあります(ステレオタイプの「サブタイプ化」と呼ばれます)。それによって「普通はA型は真面目だ」というように、ステレオタイプは維持されることになります。

もちろん、血液型ステレオタイプを遊びと捉えるだけなら、別に目くじらを立てるような話ではないでしょう。しかし、これを本気にしてしまうとやはり問題が生じます。たとえば、「適材適所」だということで血液型別に人事管理を行うとか、教育を行うとかすれば、本人の本当の性格を無視したものになってしまいます。恋人との相性も、実際にはある程度仲良く付き合っているのに、「A型で真面目だからB型でマイペースの彼とは合わない」などと判断して別れることを決めたとしたら、これは悲劇ですね。

なお、血液型に限らず、ステレオタイプは他人に対する誤解の原因になることもあります。ときにはそれが偏見や差別にもつながります。そうしたことがないように、「私たちはついつい思い込みで他人を判断してしまう、気をつけなくては」ということを、常に心にとめておくことは大切です。

上瀬由美子(2002)ステレオタイプの社会心理学~ 偏見の解消に向けて ~サイエンス社
縄田健悟(2014)血液型と性格の無関連性-日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠-心理学研究 85, 148-156.
小塩真司(2011)性格を科学する心理学のはなし-血液型性格判断に別れを告げよう 新曜社