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心理学コラムシリーズ No9.ストレスのコントロール


健康な人の心臓はまるでメトロノームのように規則正しく拍動している印象があります。しかし、実際は速くなったり遅くなったりしてめまぐるしくゆらいでいます。このようなゆらぎのことを“心拍変動”とよび、心臓への自律神経の働き方の違いから生じることが知られています。こころやからだは自律神経と密接に関係していますから、心拍変動は心理学、医学、工学を含むさまざまな分野で研究されています。

心拍変動の振る舞いのひとつの特徴は、ストレスや病的な状態でゆらぎが減り(規則正しく心臓が拍動するようになり)、リラクセーションの状態では増大することです(ゆらぎが大きくなる)。このような事実から、心拍変動はこころや身体の良好な状態を映しているのではないかと考えられるようになってきました。

それでは、“心拍変動を積極的に大きくすること(心拍がゆらぐようにすること)”はこころや身体の健康に何らかのよい効果をもたらすのでしょうか?

心拍のゆらぎをコンピュータ画面に映して、これを大きくするトレーニングを心拍変動バイオフィードバックとよびます。最近、この技法によってストレスに関わる症状、特に“抑うつ”や“不安”を緩和することが知られるようになりました。

ある研究はうつ病と診断された患者が4~10週間の心拍変動バイオフィードバックを実施し、抑うつの緩和に伴って心拍変動が徐々に大きくなることを報告しています。心拍変動バイオフィードバックは喘息、線維筋痛症、心的外傷後ストレス障害、不眠などにも応用され、多くの研究で症状の緩和と心拍変動の増大が観察されています。このことは心拍変動をトレーニングすることによって自律神経の調節機能が改善する可能性のあることを示唆しています。

心拍変動バイオフィードバックはストレスの軽減だけでなく、スポーツのパフォーマンス向上にも応用されています。

Lehrer, P. (2007). Biofeedback training to increase heart rate variability. In P. M. Lehrer, R. L. Woolfolk, & W. E. Sime (Eds.), Principles and Practice of Stress Management (pp. 227-248). New York: Guilford Press.